テキスタイル
NAPOLENA
ナポレナ2019-20年秋冬
誂え洋服用の服地という意味ではなく、誂えて作る服地、とはいかなるものか。糸揃えや織り、洗いや仕上げといった生産の工程すべてにありきたりを嫌い、既に確立されている生産プログラムに満足せず、特別仕様の方法で言わば、納得する品質・デザインの服地を“創り上げる”こと。ナポレナのコレクションはミユキスペックの特別仕様にて特別に誂えられた服地と言っても過言ではありません。世界に通用する純日本産服地です。
ションヘル織機
今や伝説と言っても良いほど希少な旧式織機の“ションヘル織機”。ナポレナ・サードジェネレーションは、ほぼすべてこの織機で織られています。織り進むスピードの遅いこのションヘル織機は、生産効率と言う意味では最新の革新高速織機には劣りますが、膨らみのある独特の“味”があるため、あえてナポレナ・サードジェネレーションはこの織機で製織しているのです。
頑固に使い続ける「天然せっけん」
合成洗剤に比べ、取扱いが難しく熟練を要する「天然せっけん」。御幸毛織の職人達が手間暇のかかる「天然せっけん」に、頑固にこだわり続ける理由は勿論仕上りの良さが故にです。天然せっけんで、丁寧にじっくりと仕上げられた生地は、しっとりと柔らかく、着る人をやさしく包み込んでくれます。合成洗剤では決して引き出すことが出来ないウールのデリケートな風合いには、天然せっけんが「絶対」なのです。しかし、天然せっけんは使用する時に“ダマ”になりやすく撹拌に細心の注意が必要になります。一度ダマを作ってしまった服地は、事故反となりその後の工程に進むことが出来ません。また泡立ち/泡切れの良い合成洗剤に比べて洗い落としにくいため、洗浄に大量の水を必要とし、ゆっくりと何度ものすすぎ工程を経なければなりません。
抜群の透明度、四日市の名水。
良い服地は良い水から生まれます。御幸毛織は、日本有数の名水の産地である三重県の四日市市に、洗い・仕上げの工場を移設。鈴鹿山系をその源とするその水脈からは長い時間をかけて降った雪や雨が浄化された、白度、濁度ともに申し分のない、透明度の高い良質な地下水が豊富に得られます。自然の恵みである鈴鹿山系の名水を生かした、御幸毛織のこだわり製法(天然石鹸を使用するため、合成石鹸に比べ 2~3倍のすすぎの水を使用します)が、しっかりとした丈夫さとしっとりとした滑らかな風合いを生み出すのです。
軟水をさらに軟水化してから使用
そのままでも十分に質の良い四日市の水ですが、御幸毛織では使用の前にさらにひと手間を掛け、水中に含まれるカルシウム(Ca)と、マグネシウム(Mg)を除去する「軟水化」を行ってから使用します。これらのミネラル成分は石鹸成分と結びつきやすく、洗浄力を弱めてしまいます、せっけんの洗浄力を最大限引き出し、洗浄作用をダイレクトに服地に作用させるためにあらかじめミネラル成分を取り除いておくのです。またこれらのミネラル成分は「石鹸かす」を発生させるもとになるので極力取り除いておくことが望ましいのです。。
天然せっけんは合成石鹸に比べて“すすぎ”に大量の水と時間が必要になります。いわゆる「泡切れが良い」という表現で合成石鹸が重宝される昨今ですが、服地の風合いを引き出すには、やはり天然石鹸が優れており合成石鹸はかないません。御幸毛織では、あくまでも服地の風合い重視で手間の掛かる天然せっけんを使い続けているのです。
しかも、すすぎの段階で、ウールが元々持っている脂分とせっけんの油脂成分を完全に洗い流さずにごく僅かの量が服地の中に残るようにしています。ウールの風合いを生かすには、この微量の脂分がとても重要なのです。
SUITS & JACKETS
ナポレナの無地
必要にして最小限。無地のスーツ地はこれを押さえるべし。
反発力に富む4/4の綾織り組織(DNJ3045/DNJ3056)の濃紺とチャコールグレイの2色は、仕立て映えも良く男らしいルックを創り出します。しっかりと糸が打ち込まれた高密度服地の手触りを感じることが出来ますが、それでいてスムース且つ、ほのかな地艶(ぢづや)を湛えています。これぞナポレナの無地。
WOOL100%(スーパー140's相当)330g made in Japan
サードジェネレーションの無地
必要にして最小限。無地のスーツ地はこれを押さえるべし。
軽やかな260gの目付(服地の重さ)は、10マンス的な着こなしを可能にします、盛夏以外の10ヵ月間の着用が可能なこの品質は、柔らかく、きれいに落ちるドレープ感が特長です。
DNJ3015, DNJ3026, DNJ3030 WOOL100% 260g made in Japan
ナポレナのダブルクロス
ダブルクロスの伝統に、思いを馳せるべし。
ダブルクロス(経糸:たていと、緯糸:よこいと ともに二重織り組織)はかつて英国で一大ブームとなった服地です。日本には1950年代~60年代に、主にヨーロッパの服地マーチャントによって紹介され、その重厚感や一目でダブルクロスと判る経畝(たてうね)組織によって人気を集めました。近年御幸毛織は紳士洋装の重要なアイテムとしてこのダブルクロスを復刻しています。当時の460~600gという重さのものではなく、現代風に345/360gの軽目付にリファインしたナポレナのダブルクロスです。
WOOL100% 345/360g made in Japan
サードジェネレーションのシャドウ
影(シャドウ)ながら貴方を支えます。
見る角度によってシャドウが現れたり消えたりする、ストライプとチェックの一連です。一見するとシンプルな柄も実は複雑な織り組織を重ねて表現されるシャドウストライプと、御幸毛織のハウスチェック*1をあしらったシャドウチェックで構成されています。最もシャドウが映えるブラックと濃紺をベースに、貴方の格調高い着こなしを支えます。ヤングエグゼクティブの方々に是非、お召しいただきたいナポレナ・サードジェネレーション。
*1 ミユキ・ハウスチェック 3本線の交差で表現されるチェック。英国タータン協会に正式に意匠登録されています。
WOOL100% 260g made in Japan