テキスタイル
NAPOLENA
ナポレナ2020年春夏
SUITS & JACKETS line-up
ナポレナが伝統的に扱っている「ミユキ・チャンピオンモヘア」。
今シーズンは経糸(たていと)にシルクを巻き付け、緯糸(よこいと)に高番手のチャンピオンモヘヤを打ち込んだ新品質を開発しました(ENJ3155/ENJ3166/ENJ3170/ENJ3181)。190gと超軽量な目付はとても軽やかで、シルクの滑らかさとモヘアのハリを感じるイノベーティブな服地が完成しました。
一方、40年来のロングセラー品質は、縦糸の高品質ウールに、純モヘヤを緯糸に打ち込んだ、言わば大定番ともいえる「ミユキ・チャンピオンモヘア」 (ENJ3192/ENJ3214/ENJ3225/ENJ3240)
しっかりと打ち込まれた光沢に優れるチャンピオンモヘアは、伝統的な中番手のもの。仕立て映えを約束するハリとコシは、これぞナポレナ。これぞチャンピオンモヘア。
頑固に使い続ける「天然せっけん」
合成洗剤に比べ、取扱いが難しく熟練を要する「天然せっけん」。御幸毛織の職人達が手間暇のかかる「天然せっけん」に、頑固にこだわり続ける理由は勿論仕上りの良さが故にです。天然せっけんで、丁寧にじっくりと仕上げられた生地は、しっとりと柔らかく、着る人をやさしく包み込んでくれます。合成洗剤では決して引き出すことが出来ないウールのデリケートな風合いには、天然せっけんが「絶対」なのです。しかし、天然せっけんは使用する時に“ダマ”になりやすく撹拌に細心の注意が必要になります。一度ダマを作ってしまった服地は、事故反となりその後の工程に進むことが出来ません。また泡立ち/泡切れの良い合成洗剤に比べて洗い落としにくいため、洗浄に大量の水を必要とし、ゆっくりと何度ものすすぎ工程を経なければなりません。
抜群の透明度、四日市の名水。
良い服地は良い水から生まれます。御幸毛織は、日本有数の名水の産地である三重県の四日市市に、洗い・仕上げの工場を移設。鈴鹿山系をその源とするその水脈からは長い時間をかけて降った雪や雨が浄化された、白度、濁度ともに申し分のない、透明度の高い良質な地下水が豊富に得られます。自然の恵みである鈴鹿山系の名水を生かした、御幸毛織のこだわり製法(天然石鹸を使用するため、合成石鹸に比べ 2~3倍のすすぎの水を使用します)が、しっかりとした丈夫さとしっとりとした滑らかな風合いを生み出すのです。
工場の近隣を流れる日本の名水100選の一つ「智積用水(ちしゃくようすい)」
軟水をさらに軟水化してから使用
そのままでも十分に質の良い四日市の水ですが、御幸毛織では使用の前にさらにひと手間を掛け、水中に含まれるカルシウム(Ca)と、マグネシウム(Mg)を除去する「軟水化」を行ってから使用します。これらのミネラル成分は石鹸成分と結びつきやすく、洗浄力を弱めてしまいます、せっけんの洗浄力を最大限引き出し、洗浄作用をダイレクトに服地に作用させるためにあらかじめミネラル成分を取り除いておくのです。またこれらのミネラル成分は「石鹸かす」を発生させるもとになるので極力取り除いておくことが望ましいのです。。
天然せっけんは合成石鹸に比べて“すすぎ”に大量の水と時間が必要になります。いわゆる「泡切れが良い」という表現で合成石鹸が重宝される昨今ですが、服地の風合いを引き出すには、やはり天然石鹸が優れており合成石鹸はかないません。御幸毛織では、あくまでも服地の風合い重視で手間の掛かる天然せっけんを使い続けているのです。
しかも、すすぎの段階で、ウールが元々持っている脂分とせっけんの油脂成分を完全に洗い流さずにごく僅かの量が服地の中に残るようにしています。ウールの風合いを生かすには、この微量の脂分がとても重要なのです。
小型ロープ洗絨機
ナポレナへの思い。
この台車(トロッコ)の写真は、ナポレナを載せて運ばれる予定の台車です。他のブランドとは違い、必ず「ナポレナ反取扱い注意」の貼り紙が、どの工程に運ばれて行っても貼られたまま扱われます。これは、御幸毛織の社員の間で昔から行われていることで、「自分たちのフラッグシップ・ブランドであるナポレナを細心の注意を持って扱おう」と言う造り手の気概の表れなのです。実際にナポレナは他のブランドに比べ生産工程数が多く、特に洗い・仕上げ工程では、匠の技を幾重にも重ねるような造り方をするので、デリケートな操作が必要になります。のみならず、「ナポレナを造っているという誇り」「ミユキの最高峰の生産に携わっているという責任」をもって生産機械の操作にあたるための証がこの貼り紙、「ナポレナ反取扱い注意」なのです。